Articles

●スウェーデン留学で学んだ5つのこと●

この記事をシェアする:

16歳、YFU交換留学から20年の軌跡

初めまして。
初投稿の記事ということで、まずは当時16歳で初めて海外留学した私が学んだ5つのことについてシェアさせていただきたいと思います。

16才の頃、近所のショッピングモールにて

初めて親元から離れて、異国の地スウェーデンで約10ヶ月間現地のホームステイファミリーにお世話になり暮したことでその後の人生を大きく変える経験をさせてもらいました。

当時の私には幸運なことに、ぼんやりと頭の中に「将来は絶対海外に関わる仕事がしたい」という想いがあり、その中でも両親が医療福祉関係の仕事に就いていたこともあり、知り合いの紹介でYFU国際交流財団を知り、スウェーデンへの留学を決意しました。

現地のアーランダ空港からオリエンテーションの1週間を終え、現地のホストファミリーが暖かく私を迎えてくださり本当に心が温かくなりました。この時の高揚感そしてエキサイティングな感覚は20年経った今でも鮮明に私の心に強く残っています。

スウェーデンには湖や森などに囲まれた美しい自然があり、特に夏の間人々は太陽の恩恵をたっぷり受け取りながら地元で採れた野菜やフルーツきのこを使った素朴で家庭的な料理を作ります。

また長い冬を乗り越えるためにインテリアには非常にこだわりを持っている人々が多くいるような印象でした。私に撮ってのスウェーデンの象徴は、やはりダーラナへストであります。元々はダーラナ地方にいる職人さんたちが一つ一つの工芸品として、販売するようになりました。

伝統を大切にしながらイノベイティブな環境保全活動に積極的なマインドセットを持つ国だと感じていて

日本に似ている部分もたくさんあると感じました。

その中で、カルチャーショックも含めて、当時の私が学んだことを5つこちらに共有させていただきます。

1、阿吽の呼吸は通じない

YFUオリエンテーション:さまざまな国の留学生と議論を交わした1週間@オーランド島

初めて日本から海外に出た時によく質問されたのは「日本とはどんな国で、どんな文化感を持った人々で成り立っているのか」など改めて、

自分なりに調べて理解したこともたくさんありました。

集団主義が浸透している日本と個人主義で多民族国家である北欧スウェーデンでは、

全く考え方が異なることを知ったのでした。高校の英語の授業では、

日本の大学受験に特化した授業とは異なり、常に「あなたはどう思うか」「なぜか」など徹底したクリティカルシンキングを重視した議論が交わされます。

最初は、ついていけなくて大変でしたが先生の助けもあり、

段々と理解が深めていけたのを覚えています。

阿吽の呼吸ではなく、常に自分とは何者かを問われる場面が多かったので、その後の米国における大学生活でも非常に役に立ったと思います。

2、環境保全への意識の高さ

コンポストと自然保全の意識は断然20年前に留学した時から現地のスウェーデン人は高いと確信することができました。
特にスーパーにあったペットボトルや缶などのゴミを持っていくと現金に換えられるシステムはとても画期的で感動したことを覚えています。

同時に、日本人のように自然を大切にするという意識があるようにも思えました。

3、男女の差別が薄い

私がお世話になっていたホストファミリーにおいては、当時機械工であったホストファザーは17時頃仕事から平日帰宅していました。
帰宅後はすぐに部屋着に着替えて、ホストマザーに変わり料理の支度をすることがほとんでありました。お互い助け居合いながらうまく会話を楽しみ、一緒にFIKAをしながらとことん語り尽くしているお二人の背中を見て、なんて素晴らしい家庭だと感動したことを今でも覚えています。時には近所の友人たちも共にたわいのない会話を楽しみ、仕事、家族、政治などのトピックについてもオープンに話していたのが印象的でした。

2023年6月 : スウェーデンでお世話になったアルベルグ家と一緒に。

戦後、女性の社会進出が進みより多くの人たちが稼ぐ術を身につけました。スウェーデンにおいては特にその傾向が顕著であり、家庭内における家事分担も非常に円滑に行われているケースが多いことを感じました。

4、自律を重んじた公教育システムと機会

まさに私がお世話になった成人のための公教育制度 ・SFI(Swedish For Immigrants) 対象年齢:16 歳~ もこのスウェーデンにおける教育システムの高さを窺える項目となっています。スウェーデン語を母語としない成人移民向けの基礎スウェーデン教育制度であり、当時私は学校で最年少であったスウェーデン語の 知識とスウェーデン社会について学ぶ機会が与えられ、住民登録がされている 16 歳以上の者 を対象としています。参加者にスウェーデン語の基礎知識は要求されませんが、バックグラウンドや知識 によってクラスが、3 つのレベルと 4 つのコースに分けられているケースが多いです。SFI を修了すると以下の Komvux において、スウェーデン語の学習を続けることが可能です。このように、さまざまな形で生涯学習(Lifelong Learning)や生涯教育(Life Education) が自然に社会に組み込まれていくことで、日本のように「やり直しが効きにくい」教育からの逸脱に最も成功している国と一つだということを私は感じました。

5、多様性を重んじる社会と教育

当時、留学生には珍しくまずはスウェーデン語の基本の習得のため、大人が通うSFI(スウェーデン移民学校)に約半年間通っていました。日本という単一民族国家から、ヨーロッパの北端にあるスウェーデンに旅立った時に驚いたのは、スウェーデンにおける人種や言語の多様性であリます。そして自分が「外国人」として他人に認識されることの歯痒さや新鮮さも経験しました。当時のクラスメイトも多種多様で驚きました。スウェーデン人やギリシャからの移民やヒンドゥー系・アフリカ系の生徒もいました。中国、ロシア、チェコ、メキシコ、アメリカ、ネパール、フィリピン、インド、イギリス、ドミニカリパブリック、イランなど本当にさまざまな国から移民してくる人々がたくさんおり、中には国の政治的な事情で、難民として家族で逃げてきたファミリーもたくさん見かけて衝撃を受けました。私は平和な日本という国から来たので、自分の無知さに恥ずかしくなることもしばしば。SFIでは「大人の世界」を味わうことができたのでした。日本人も数人いたので、たまにクラスメイトのお家にお邪魔してお茶をしたり、スウェーデン滞在中の悩みを語り合ったり共に勉強に笑ったり泣いたりする絆もできました。

授業の初日、私の目の前には20代前半くらいのネパールの男性が座り、鉛筆を貸してくれと話しかけてくれたのを今でも覚えています。

「なぜスウェーデンに来たのか?」と英語で尋ねたら、こちらで仕事を探すためにある程度言語を習得したいといっていました。

何もかも新しい世界に最初は戸惑いを隠せなかった。聞こえてくる言語も多様で、でも一緒にスウェーデン語を学ぶというかなり貴重な体験をしたことによりこの時から「ああ、地球にいっしょに住んでいる人間は、多少なりの宗教・文化観の違いはあれど分かり合えないことはない」と勝手に楽観的に捉えていたのでしょう。

しかしながら、もちろん最初はまず発音や文法に慣れずかなり苦労しました。ただし、今覚えば、ドイツ語やイタリア語のように複雑な活用がない分、英語やドイツ語を勉強したことがある人にとってスウェーデン語は習得しやすい言語だといえるでしょう。

毎日大変では合ったが、スウェーデン語に毎日触れていくうちにだんだん自然と単語の数がふえて簡単な日常会話を習得することができました。ホストファミリーとは最初若干英語を交えて会話をしていたのだが、スムーズに自分の意志を伝えることができるようになり、だんだん現地の文化に対する疑問や自分の意見をきちんと伝えることもできました。

ホストファミリーとの時間は今でも一生の宝物です。

最後に、スウェーデンのホストマザーとの思い出話をして締めようと思います。

今でも覚えているのがスウェーデンの定番スイーツレシピ: MORROT KAKA(ニンジンケーキ)です。

にんじんを細かくすりおろし、小麦粉と卵を混ぜて、オーブンでじっくり生地を焼きます。

かなりシンプルでありますが、スウェーデンでは定番の家庭的なお菓子のレシピなんです。

当時のお孫ちゃんたちが、週末遊びにくる時によく振る舞っており、一瞬でなくなっている人気のレシピでした。

お砂糖はそこまで使っていないのに、ほんのり甘くて、しっとりした生地が美味しいんです。

私がとても感動したのは、彼女の懐の広さであり、まるで本当の家族のように、いつも家で「おかえり」と笑顔で迎えに来てくれていたことです。

お気に入りのシトロンの車にはBAMSE(くま)のぬいぐるみが飾ってあり、

通勤のBGMは決まって「PER GESLLE」でした。

何十回も耳にして、自分で歌詞を調べていくうちに自然とスウェーデン語を覚えていくようになりました。

言語習得には、さまざまな方法があると言われるが、私は耳が良い方でイントネーションや発音を真似することで意味を習得し「単語」として

徐々に理解し実際に話すことができるようになりました。

ホストマザーはフィンランド系スウェーデン人でありながら、すぐに本当の娘のように可愛がってくれたのです。

彼女のスウェーデンでの生き方は、私の今に生かされています。

家族を大切にし、とても物を大切に使い、よくメンテナンスしながら使っていました。

非常にインテリアのセンスも良く、よく素敵なマグカップや食器を飾っていました。

地元のフリーマーケットを活用しながら上手く家計のやりくりをしていく様子を見て私もたくさん学びをいただきました。

2023年6月 スウェーデンFjäderholmarna島にて家族でランチ 海鮮のフィッシュ&チップスが名物

2023年、今となっても変わらず交流を続けてくれるアルベルグファミリーの皆様に心からの敬意と感謝の気持ちを込めて。

またスウェーデンで会える日まで。

20年間、変わらず留学生として私を受け入れてくれて、そして愛してくれて、本当にありがとうございます。 Vi ses snart!

廣瀬 知美 (ヒロセ トモミ) 1987年生まれ。神奈川県横浜市出身。東京都富士見丘高等学校卒。 YFU国際交流プログラムにて16歳−17歳 留学 米国ワシントン州市私立大学卒業後、ドイツ企業秘書を経て、現在は 家業 医療法人社団 廣風会 会社役員及び日英翻訳家(フリーランス)。 また2023年10月より Hult International Business Schoolにて経営学を学ぶ大学院生。 趣味は、料理、温泉巡り、音楽、ドラマ鑑賞、ピアノ、語学、写真 等。 YFU国際交流プログラムにてスウェーデンウプサラ市内に留学。 初めて北欧現地のホストファミリーと一緒にクリスマスを過ごした日々は 今でも忘れられない思い出。 スウェーデンに留学したきっかけは、ヨーロッパへの憧れの気持ちや北欧の自然の美しさそして福祉や教育水準の高さが決め手となりました。 オリエンテーションで初めて実際にスウェーデン語に触れることとなり 現地のSFI(移民学校)に通いながら高校も通学しておりました。 初めてFIK Aの文化に触れたときは、ホストファミリーの暖かさやホスピタリティーに 感激したことをいまだに明白に覚えております。 今回ご縁があり、 関西・スウェーデン友の会にてブログ投稿をさせていただくことなり 嬉しい気持ちで一杯です。 北欧スウェーデンと日本の異文化理解及び交流に微力ではございますが 貢献できれば幸いです。 今後とも宜しく御願いいたします。 廣瀬 知美

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です