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映画『リサ・ラーソンがいた時間』――“かわいい”だけではない、リサ・ラーソンの人生

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リサ・ラーソンが好きです。

……と書くと、「ああ、あの赤と白のしましまの猫、マイキーね」と思われる方も多いかもしれません。

実は私は、リサ・ラーソンが日本で大人気になるより少し前から、作品を見るのが好きでした。前職では北欧のビンテージ品を輸入・販売する仕事をしていたので、リサ・ラーソンの作品にも以前から親しんでいて、少しだけですが自分でも持っています。

わが家のコレクションは、なぜか猫が多め。奥の茶色いミアは友人からの贈り物。キツネのフィギュアは「こんな顔では貰い手はないだろう」と手元に置いたもの。アザラシは親友から。

リサ・ラーソンの展覧会が日本で開催されると、できるだけ足を運んできました。けれど、私が特に好きなのは、日本で人気に火がついた「かわいい」リサ・ラーソンというより、もう少し初期の作品。丸くて愛らしい動物たちとはまた違う、ちょっと不思議で、どこかユーモラスで、時にはもの悲しささえ感じる作品に惹かれてきました。

そんな私が楽しみにしている映画が、9月18日(金)から全国公開される『リサ・ラーソンがいた時間』です。

リサ・ラーソンの「最期の日々」を孫娘が撮る

『リサ・ラーソンがいた時間』は、スウェーデンを代表する陶芸家リサ・ラーソンの晩年を、孫娘で映画監督のエミリア・エクマン・ラーソンが撮影したドキュメンタリーです。

エミリアが祖母の撮影を始めたのは2017年。そこから8年間にわたって、カメラを通してリサ・ラーソンと向き合いました。2024年に92歳で亡くなったリサの、最期の日々までが記録されています。

映画の冒頭に登場するのは、私たちがよく知る「かわいい動物」を作る姿ではありません。

リサが粘土を激しく叩きつけ、作品を作っていく姿。

「しっくりこなかった」と、せっかく作ったものを壊してしまうこともあるそうです。70年以上にわたって、創作と破壊を繰り返してきたリサ。90歳を過ぎても創作への情熱は衰えませんでした。

その姿からは、「北欧のかわいい雑貨を代表する作家」というイメージとは少し違った、一人の芸術家としてのリサ・ラーソンが見えてきます。

「かわいい」の奥にあるもの

リサ・ラーソンといえば、猫の「マイキー」やハリネズミなど、愛らしい動物や子どもをモチーフにした作品が有名です。

日本でも長く愛されていて、2000年代以降には大きな人気を集め、2014年には松屋銀座で大規模な個展も開催されました。

でも、この映画で印象的なのは、そんな「かわいいリサ・ラーソン」のイメージだけではありません。

リサ自身が気に入らずに捨てた作品を、夫のグンナルが拾い集め、自宅の庭の石壁に飾っていたというエピソードも登場します。

そこに並ぶ人物像は、どこか歪んでいて、少し悲しげ。それでも、強い生命力を感じさせる作品なのだそうです。

このあたりは、初期のリサ・ラーソンの作品が好きな私としても、とても気になるところです。

芸術家として、母として、妻として

映画では、リサの作品だけでなく、その人生にも深く迫ります。

2歳で母親を亡くした幼少期。1950年に出会い、70年にわたって人生と創作をともにした夫グンナルとの関係。そして2020年にグンナルを亡くした大きな喪失。

一方で、仕事に追われ、子どもたちと十分な時間を過ごせなかったことへの後悔も、リサは率直に語っています。

そして孫のエミリアとの対話の中では、「創作を続けること」と「家族との時間を大切にすること」は両立できるのか、という問いも浮かび上がります。

リサはエミリアに「才能があるのだから芸術の道を進んでほしい」と伝えます。一方のエミリアは、家族や友人との時間を大切にしながら創作することはできるのか、と問いかけます。

単なる「有名陶芸家の伝記」ではなく、祖母と孫、二人の女性が人生や創作について語り合う映画でもあるようです。

スウェーデンの暮らしを感じられるところも

そして、スウェーデン好きとして見逃せないのが、リサの暮らし。

ストックホルム近郊の自宅兼アトリエや、リサの陶器やテキスタイルに囲まれたインテリア、北欧らしい色彩のファッションなども映画の見どころとして紹介されています。

作品そのものだけでなく、「リサ・ラーソンがどんな場所で、どんなものに囲まれて暮らしていたのか」を見ることができるのも、北欧の暮らしやデザインが好きな人にはうれしいところですね。

関西でも上映されます

『リサ・ラーソンがいた時間』は、9月18日(金)よりシネスイッチ銀座、アップリンク吉祥寺ほか全国で公開。

関西では、

・大阪・テアトル梅田
・京都・アップリンク京都
・兵庫・シネ・リーブル神戸

での上映が予定されています。

リサ・ラーソンの作品が好きな方はもちろん、「北欧のデザインが好き」「スウェーデンの暮らしをもっと知りたい」という方にもおすすめしたい映画です。

私自身、これまで展覧会で作品を見てきましたが、今度は映画を通して、作品の向こう側にいたリサ・ラーソンという一人の女性に会いに行ってみたいと思います。

「かわいい」だけでは語れないリサ・ラーソン。

彼女がどんな人生を送り、なぜ90歳を過ぎても粘土に向かい続けたのか。

スクリーンの中のリサに会えるのを、楽しみにしています。

『リサ・ラーソンがいた時間』

2026年9月18日(金)全国公開
監督・撮影:エミリア・エクマン・ラーソン
2025年/スウェーデン/94分/スウェーデン語
配給:ミモザフィルムズ

公式サイト:
https://mimosafilms.com/lisalarson/

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